金沢大学医薬保健研究域医学系 産科婦人科学教室

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腫瘍学研究室

婦人科腫瘍幹細胞の解析

 多分化能を有するという癌幹細胞(Cancer stem cells; CSCs)との存在が報告されている(図)。我々は子宮内膜癌においてCD133が癌幹細胞マーカーであること報告した (Nakamura et al. Hum Pathol, 2010)。CD133 陽性子宮内膜癌細胞は陰性細胞に比し、高い造腫瘍、自己複製能を有しており、抗癌剤抵抗性であり臨床的には独立予後不良因子であった。またCD133陽性細胞は浸潤、転移の遺伝子であるMT1-MMPの発現が亢進しており著明な浸潤能を有していた(Nakamura et al. Int J Oncol, 2014))。現在、MT1-MMP以外に癌幹細胞の特徴的な遺伝子を検索しており、将来の分子標的治療への応用を目指している。また血中の癌幹細胞にも注目しており、末梢血中に癌幹細胞が存在することの臨床的意義についても検討中である。

癌幹細胞;造腫瘍、自己複製、多分化

末梢血中腫瘍細胞の検出と解析

末梢血中腫瘍細胞(circulating tumor cells; CTC)の検出は乳癌・大腸 癌・前立腺癌などで予後マーカーあるいは治療効果の指標として有用と報告されている (N. Engl. J. Med. 2004; 351: 781-91, Clin Cancer Res. 2008; 23: 1420-30, J. Clin. Oncol. 2008; 26: 3213-21)。しかしながら婦人科癌におけるCTCの臨床的意義は未だ明らかになっていない。また現状では主にEpCAM(ヒト上皮抗原)やCytokeratin8/18/19といった細胞表面の上皮マーカーによってCTCを識別している。この方法には、癌細胞と正常上皮細胞の区別が困難である等の問題点がある。これらを克服する新しいCTC検出法の開発が必要である。テロメラーゼは細胞分裂の都度、短縮を繰り返している染色体末端構造のテロメアを延長することで細胞の無限増殖を可能としている。80%以上の上皮性悪性腫瘍で活性化されていることが知られているが、我々は逆転写酵素蛋白human telomerase reverse transcriptase (hTERT)の遺伝子発現の有無がテロメラーゼ活性の決定因子であることを明らかにしてきた (Cancer Res 1998; 58: 1558-61, Int J Cancer. 1998; 78: 539-43)。この研究においてクローニングしたhTERTプロモーターは癌細胞においてはCMVプロモーター等のウイルスプロモーターに匹敵するような極めて強い活性を示す一方で正常細胞では不活化されており極めて癌特異性が高いことが明らかにされている(Cancer Res. 1999; 59: 551-7)。TRAD (Telomerase-specific replication-selective adenovirus)はこのhTERTプロモーターを5型アデノウイルスのE1A・E1B遺伝子の上流に組み込むことでhTERTプロモーターが活性化された細胞すなわちテロメラーゼ陽性細胞でのみ増殖するようにデザインされた改変アデノウイルスである。これにGFP遺伝子を更に組み込んで癌細胞で特異的にGFPを発現するように改良したものがTRAD-GFPである(図)。そこでTRAD-GFPを血液に感染させることでその中に極少数存在する癌細胞のみをGFPで発光させることで検出することができる。我々はTRAD-GFPを用いて婦人科癌におけるCTCの臨床的意義を解明するとともに、CTCの単離と遺伝子変異解析を確立することで、癌の転移機構の解明につなげることを目的として研究を行っている

婦人科癌の遺伝子解析

婦人科悪性腫瘍の発癌や浸潤、転移に関連する因子してp53、PTEN、KRAS、NF-kBやHPVなどの多くが同定されている。しかしながらこれらの因子についての解析結果が臨床にあまり反映されていないのは現状である。これらの因子、特にp53を中心に症例ごとでの発現を再考しその結果に基づいた術式などの治療方針や再発リスク分類の構築を行っている。


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