金沢大学医薬保健研究域医学系 産科婦人科学教室

  • トップイメージ01
  • トップイメージ02
  • トップイメージ05

教授挨拶

藤原 浩

患者のための医療に全力を注ぐ

金沢大学医薬保健研究域医学系
産科婦人科学
藤原 浩

2013年6月16日付けで井上正樹前教授の後任として金沢大学の産科婦人科教室の12代目の教授に就任いたしました。金沢大学の産科婦人科教室は130年の歴史があり、第9代の赤須文男教授までは東京大学から、第10代の西田悦郎教授、第11代の井上教授は金沢大学の出身で、私は京都大学から就任した初の教授となります。

【産婦人科の特徴】
産婦人科は周産期学、婦人科腫瘍学、生殖医学および女性医学の4つの領域からなります。産婦人科は女性の一生を扱っていますが、卵巣癌や子宮がんなど悪性疾患も担当しており、治療法もホルモン治療などの内科的治療と帝王切開や子宮がん手術など外科的治療まで多岐にわたっています。さらに特筆すべき特徴として新しい生命の誕生に携わっていることが挙げられ、他科と異なる魅力を有する診療分野であり、研究面でもテーマに事欠かかず、私たちの挑戦に無限に応えてくれる可能性を秘めた科です。そのような背景のもと、先代の井上教授時代には婦人科腫瘍学や生殖医学の領域で世界トップクラスの輝かしい研究業績を残してきました。


【婦人科腫瘍学領域の課題】
婦人科腫瘍学の課題としては、ゲノム解析によるがん治療の個別化、およびがん患者のQOL向上を目指した手術療法が挙げられます。当科では婦人科腫瘍の診療チームがテロメレースに着目した新しいがん診断と治療の開発を精力的にすすめていますが、一方で術後の排尿障害が問題となる広汎子宮全摘術においては骨盤神経温存術を施行しています。現在本邦でおこなわれている広汎子宮全摘術は私の母校である京都大学で開発された岡林術式が源流となっていますが、金沢では本学出身の矢吹朗彦先生をはじめとする本学の諸先輩方が様々な改良を重ねて術式を発展されてきた歴史があります。また早期の社会復帰を目指した内視鏡手術の導入が課題となっており、当科でも先進医療である子宮体癌に対する腹腔鏡下手術を推進し、さらにロボット手術の導入もすすめています。

【周産期学領域の課題】
周産期学の課題は早産と妊娠高血圧症候群の管理が挙げられます。当科は高度周産期医療機関として周産期の診療チームが高リスクの母体搬送を受けて小児科と連携して出生前の超音波による胎児診断や出産後の高度なNICU管理を実現しています。早産児はその出生に伴って循環器系など全身の機能システムが新しい段階に移行します。そこで現在の研究課題として小児科と基礎医学部門とも連携して将来の臓器発育の視点から新しい胎児/新生児治療の開発を推進しています。一方で胎盤形成期には胎児由来の絨毛外栄養膜細胞が母体免疫細胞からの攻撃を回避しながら子宮内膜血管に浸潤してこれを再構築します。この過程が障害されると妊娠高血圧症候群が発症すると考えられていますが、私たちは絨毛外栄養膜細胞のみに発現しているlaeverinと命名した免疫寛容を誘導する新しい候補分子を発見し、その遺伝子配列を同定しました。現在リコンビナントlaeverinを用いて臨床応用を目指した解析をすすめています。

【生殖医学領域の課題】
生殖医学では不妊症の管理が中心となりますが、その治療法は大きく分けて子宮内膜症や子宮筋腫に対する腹腔鏡をはじめとする手術療法と体外受精をはじめとする生殖補助医療(ART)が挙げられます。腹腔鏡、子宮鏡や卵管鏡による内視鏡手術は生殖医学の診療チームが行なっており優れた成績をあげています。一方で生殖補助医療が進んだ現在でも良好胚を繰り返し移植しても妊娠に至らない着床障害患者が大きな問題となっています。私たちは免疫細胞を用いた新しい治療法を開発して臨床応用に成功し、現在その成績の改善を目指して研究をすすめています。

【女性医学領域の課題】
女性医学では更年期女性などに対する内分泌学的な管理や骨盤臓器脱に対する保存的療法または手術療法が主体となります。最近では乳癌患者に対するホルモン治療に関してQOLの観点から婦人科医の協力が必要とされています。また骨盤臓器脱に対する手術療法として約10年前にTVM(Tension free Vaginal Mesh)手術が本邦に導入され普及し始めましたが、最近ではメッシュ手術のマイナス面が強調されることとなり、従来から本邦で行われていた婦人科医による骨盤臓器脱に対する手術療法が再び見直される流れとなっています。金沢では本学の先輩である故遠藤幸三先生が経腟手術の術式を確立されており、その流れを組む諸先輩が数多くおられます。

【生殖機能温存の課題】
近年、生殖可能年齢またはその前の小児のがん患者さんに対して生殖能力を温存する必要性が求められてきています。乳腺外科や婦人科のみならず血液内科や小児科において大きな問題となっています。卵や卵巣組織そのものの保存も課題とされており、その斡旋とカウンセリングを含めたシステムが課題となります。金沢大学でも当科が中心になって北陸圏内のがんと生殖医療のネットワーク作りに取り組んでいます。

【学生諸君に】
当科の関連病院は富山県立中央病院、石川県立中央病院、福井県立病院などの北陸3県をはじめとして、金沢医療センター、金沢日赤、金沢市立病院など市中の病院を含めて30以上を数えています。関連病院と教室が提携して先端の医療の提供と臨床研究の推進、さらに若手医師の研修指導をおこなっています。妊娠期や更年期を含めた女性の一生を扱い、新しい生命の誕生にも携わっている産科婦人科学に興味を持った多くの若い諸君が当教室に飛び込んで来ていただくことを期待しています。当教室の教室員に気軽に声をかけて下さい。

産婦人科の魅力 日本産婦人科学会 婦人科医療 周産期医療 生殖医療 入局希望者の方へ 診療紹介 教室公式ブログ